筑波大学武道学研究室は、本学の前身である東京教育大学に武道学科が設置されるに伴い、「武道各種目独自の理論研究は、それぞれの講座内で行なうが、その基礎的総合的理論の体系は独立して研究しなければならない」との理由から新たに設けられた武道論講座に始まる。
武道論講座は、昭和42年(1967)4月1日に設置された武道学科の中で、先ずは大滝忠夫教授が「武道論」の授業を開始し、昭和44年(1969)に渡邊一郎助教授が専任として加わり「武道史概説」「武道伝書演習」「武道資料購読」の講義を開始したことにより、講座としての体裁が整えられていった。昭和48年(1973)に教務員から専任講師に昇任された中林信二先生が指導陣に加わり、文武両道の学風を形成していく。その後、大学としては昭和48年(1973)に総合大学として開学した筑波大学に移行し、武道学科自体は昭和52年(1977)の東京教育大学閉学をもってなくなったものの、武道論は筑波大学の体育専門学群ほか教育組織における体育・スポーツ学の一領域として位置付けられ、平成25年(2013)に領域名称を「武道論」から「武道学」に改称した。創設から現在に至るまでおよそ半世紀の歴史を重ねつつ、日本の武道学を牽引し、多くの優秀な研究者・教育者を輩出してきている。
研究の内容としては、大きく武道史と武道思想に大別され、さらに近年はターミノロジー(専門用語)研究なども加わり、学群(学部)から博士後期課程にいたるまで一貫した研究・教育体制が整えられている。また、昨今急速にグローバル化が進む学術界において、ジャパノロジー(日本学・日本研究)の一環としても海外から高い評価を受けており注目度が高い。
歴代教授陣としては、大滝忠夫先生、渡邊一郎先生、中林信二先生、入江康平先生、藤堂良明先生らが名を連ね、現在は酒井利信教授・大石純子准教授の陣容で研究・教育活動を行っている。