Budo World

武道に身心統合科学の可能性を探る ~嘉納治五郎の事績にならい、今をかんがえる~

kodokan_kanojigoro

酒井利信(筑波大学) 、前林清和(神戸学院大学)、寒川恒夫(早稲田大学)、永木耕介(兵庫教育大学)、長尾進(明治大学)、百鬼史訓(東京農工大学)、村田直樹(講道館)、大保木輝雄(埼玉大学)、藤堂良明(筑波大学)、真田久(筑波大学)、アレック・ベネット(関西大学)、中村勇(鹿屋体育大学)、竹中健太郎(鹿屋体育大学)、鍋山隆弘(筑波大学)、有田祐二(筑波大学)、軽米克尊(筑波大学大学院)

キーワード:BAMIS、身心統合、嘉納治五郎、心法

 文部科学省特別経費概算要求(大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実)において「たくましい心を育むスポーツ科学イノベーション」をテーマとしたプロジェクト(プロジェクト・リーダー:征矢英昭)が採択され、2010年から4年間にわたる身心統合スポーツ科学研究(Body and Mind Integrated Science: BAMIS)プロジェクトが、筑波大学大学院体育科学専攻・スポーツ医学専攻・コーチング学専攻・システム情報工学研究科を中心としてスタートした。
 本プロジェクトは、青少年に見られる身心の活力低下問題に対して、武道ならびに東洋的身体技法の効果を学融合で創出する革新的スポーツ科学で解明し、たくましい心の創出に寄与することを目的としている。そのために、運動に関する基礎研究と実践現場との橋渡しを行いつつ、更に、スポーツ医学‐脳科学‐認知工学‐身体文化論の学融合により、従来にない身心統合スポーツ科学を創成していこうとするものである。
 当プロジェクトは、スポーツ医科学、武道及び身体技法研究、認知脳科学、運動実践研究の4部門から構成されている。その中で武道及び身体技法研究における特に武道セッション(代表者:酒井)に我われはかかわるものであるが、当セッションにおいては当面、武道学全体を俯瞰しつつ特に人文科学的な手法による身心統合問題に関する既存の研究成果を把握し、今後の研究の方向性と、自然科学的手法あるいは実践現場との融合の可能性を探る作業を行っている。
 本稿は、平成23年2月28日・3月1日に開催された第1回BAMIS国際フォーラムにおける武道セッション・シンポジウム「武道に身心統合科学の可能性を探る~嘉納治五郎の事績にならい、今をかんがえる~」についての報告である。
 本シンポジウムは、本年度が筑波大学の前身である東京高等師範学校において学長を務めた嘉納治五郎の生誕150年にあたることから、これを記念して、特に嘉納に焦点をあてつつ武道の身心統合について議論しようとするものである。
 本シンポジウムは、以下の日程で行われた。

  1. 日 時:平成23年2月28日 
  2. 場 所:筑波大学 大学会館特別会議室
  3. プログラム:
  4. パネラー発表
    • 前林清和:「嘉納以前の武道における身心統合論」
    • 寒川恒夫:「嘉納の柔道にみる身心問題」
    • 永木耕介:「嘉納による武道の国際化」
    • 長尾 進:「嘉納とその周辺 ~鉄舟、西久保~」
    • 指定討論者:百鬼史訓、村田直樹、大保木輝雄
    • 学内コメンテーター:藤堂良明、真田 久
    • 司会:酒井利信(コーディネーター)、アレック・ベネット

 尚、本フォーラムにおいて武道セッションが関わったものとして、趙在基氏(韓国・東亜大学校教授、KOC元事務総長)による特別講演「韓国スポーツ界と嘉納柔道」、および鹿屋体育大学における身体儀礼フォーラム「大学体育における<修養的教養>の未来‐武道礼法を中心に‐」に関するポスター発表(中村勇・竹中健太郎)があるが、これについての報告は別稿に譲る。