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明治維新と武道の危機

 明治維新以後、明治4年(1871)の廃藩置県により幕府の下部行政組織であった藩がなくなり、それまで藩から給料をもらっていた武士は失業してしまう。徳川幕府の中では士・農・工・商という階級制度があったが、これがなくなり武芸の担い手であった武士階級自体が消滅してしまった。
また、明治9年(1876)の廃刀令により武士の象徴であった日本刀を携行することが禁止され、近世武芸を主導してきた剣術自体が成り立たなくなった。
 戦いの技術としては、西洋諸国で既に発展していた近代兵器が大挙して日本列島に流入し、それまでの日本の武芸などは戦の技術としては途端に無用のものとなった。
 日本武芸最大の危機であった。

文責:酒井利信